著名人・専門家コラム

2023.01.10

新型コロナウイルスで保険会社の収益が悪化している【住宅FP関根が答える!Vol.40】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。

新型コロナウイルスの流行から2年半が経ちました。はじめは新型コロナウイルスに感染した人数を全数把握していましたが現在は全数把握していない県もあり、流行の初期に比べ新型コロナウイルスに対する考え方や接し方が大きく変わってきました。

流行の1年目、2年目、そして3年目と年を重ねるごと、変異株により感染力は強くなっていったり、またのワクチンの継続接種が難しかったり等、理由はいろいろあると思いますが、感染者数は年々増加していきました。現在(2022年12月10日時点)もなお、1日当たり約13万人前後の方が新型コロナウイルスに感染されています。

その増え続ける新型コロナウイルス感染者は自宅療養となることが多く、実際に病院に入院しているわけではありませんが、その自宅療養、いわゆるみなし入院にも医療保険の入院給付金が今まで支払われていました。そんな中で行われた大手生命保険4社の中間決算です。4社のうち3社で大幅減益と発表されました。今回のコラムではこちらについて詳しくお話していきます。

大手生命保険会社の収益悪化

先日の報道で大手生命保険4社の中間決算は、新型コロナ関連の支払いが急増し、3社で大幅な減益となったと報道されていました。国内の大手生命保険会社である日本生命、第一生命、住友生命、明治安田生命の4社です。

この4社おける4月から9月までの決算は、利回りの良い外貨建て商品の販売が伸びたものの、新型コロナウイルスのいわゆる「みなし入院」への支払いが急増したため収益が悪化したとのことです。本業の儲けを示す基礎利益は、明治安田生命を除く3社でおよそ25%から33%の減少となりました。ちなみに明治安田生命はおよそ12%の増益となりましたが、新型コロナウイルス関連の支払いにおいては、まだ保険金請求をしていない罹患者も多いことも考えられるため、今後も増えていけば、さらに収益は悪化することも考えられます。

生命保険は利益変動が少ない

ここで考えていきたいのは、一般的に保険というものは、損害保険と生命保険があります。この損害保険というものは、予測不可能な自然災害等の影響が大きいため、利益の変動が大きくなることが多いです。

例えば、以前あった東日本大震災などの大地震は地震保険に該当するため大変収益を圧迫することになります。また地球温暖化などにより、世界中で洪水が頻発したとします。洪水による補償というものは、火災の件における「水災」に該当するため保険金の支払いが発生します。こういった予測不可能な自然災害等が頻発すれば、保険会社の収益が悪化していきます。

そうなると、火災保険料は値上げされるのですが、すでに契約も締結している場合には保険会社が苦しい状況であっても契約した際の支払いが決定している保険金の分は、支払わないといけません。今まで考えられなかったような、自然災害が起こることにより、保険会社の収益に影響を及ぼします。

最近でいうと、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)は、世界で自然災害などが増え保険金の支払いが重たくなり、11月22日に2025年度末までに国内の生損保事業の従業員を6300人減らすと発表しました。従業員6300人とはグループ全体の16%に相当します。

一方、生命保険会社は、通常は死亡率が年によって大きく異なることはありません。また病気による入院も、おおよそこの年齢ならこれくらいといった蓄積されたデータがあります。そのため保険料の大幅な改定もありませんし、収益は比較的安定する傾向があります。そういった中で、大手生命保険会社の収益大幅減益となっているということは、新型コロナウイルス感染症という、過去には考えられなかったような疫病が流行り、コロナの入院関係の支払いが多かったといえると思います。

先行き不安な生命保険会社の運営

そもそも、今回のみなし入院は、本来支払う必要がなかった入院給付金でした。それを支払っていたため収益が悪化するといった結果になりました。

とはいえ、減益が続くようですと保険会社の経営は厳しくなってしまいます。当然、減益を背景に保険料を引き上げなければいけなくなります。ただ、そうなった場合、保険加入者が減少してしまうことも考えられます。また今後は、さらに少子化が進むとことと思いますし、保険に加入するボリューム層が減少することが予想されます。保険に加入するボリューム層の減少に加え保険料の値上げとなると、必然的に加入者減少から、逆に経営を悪化させてしまいます。こういった、誰も予想していなかった感染症が流行ってしまうと、それ以降の保険会社側の商品設計において、保険料と保険金のバランスをとることが難しい状況が続くとみられます。今後商品のカタチを変えながら値上げを図ってくることになるでしょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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